top of page

The International Insect Exchange Fair

in Frankfurt am Main

(ドイツ/フランクフルト)

 フランクフルトのフェアは年に1度、11月にドイツの金融都市フランクフルト・アム・マインの郊外にて行われる、パリのジュビジーと並んで欧州最大規模のフェアである。非常に歴史のあるフェアで、既に開催は100回を超えている。ドイツもフランス同様、歴史的にコレクターが非常に多い国であり、今も多数の標本商やコレクターが存在する。
 


 ここではその歴史を今に感じさせる、大型甲虫においては欧州最強と称されることもあるプロス氏や、数多くのクワガタを精力的に記載しているシェンク博士など、他のフェアでは見られない多彩な顔触れが揃う。小型の昆虫や蝶をメインとしているコレクターからすると少し物足りないかもしれないが、個人的には古い南米のカブトムシなんかの掘り出し物が見つかったりするので結構嬉しい。
 

 欧州のフェアでも、特にここフランクフルトでは貴重で高額な虫の取引が発生する事が多い。日本国内のフェアで高額な標本と言えばせいぜい数万から30万くらいまでが限界だと思うが、ここでは全て2000ユーロ(25万円)以上の標本だけで埋め尽くされている箱を出店する業者がいたり、更にそれをスナック感覚でその場で数百万円分購入していくツワモノがいたりと、日本のフェアとはレベルが違う事を実感させられる。欧州の標本商の間では有名だが、とあるお金持ち…いや、富豪と呼んだ方がいいのだろうか?そんなコレクターがいて、かたっぱしから超高額標本を根こそぎ買っていくのである。

 

 これは作り話でもなんでもなくて、その瞬間を私は大型甲虫コレクションの大家F氏と一緒に目の当たりにしていた。私から見ればF氏も間違いなくとんでもない、特定のジャンルに関しては間違いなく日本一のコレクターであるが、その氏が「あいつはとんでもない奴だよ」と舌を巻くレベルの金持ちコレクターが欧州には実在するのである。その富豪の某氏以外にも、欧州で名のあるコレクターはお金持ちが多く、それにまつわる逸話も沢山あり、いい意味でトップレベルのコレクションというのは「金持ちの道楽」であると再確認させられる。コレクションというの自己満足の世界とはいえ、やはり多少は他人と張り合う部分も含むものであるが、ここまで財力や規模が違うともはやどうでもよくなってしまう。

​ビール片手に行う「卓上採集」ほど呑気で楽しいものはない。

​ごちゃっと詰め込まれたような印象の箱が多い。中にはパーツがなかったり虫に食われていたりするものも多いが、掘り出し物が見つかると嬉しい。

周辺・観光情報


 会場のアクセスやロケーションは欧州フェアで断トツ一番いい。まず会場が大型ショッピングモールに隣接している時点で最高である。フランクフルト中央駅から会場まで電車で30分ほど、更にショッピングモール内には銀行もカフェもスーパーもなんでも揃っているので、フェアの前後の時間つぶしに困る事は無い。

 会場内には受付に荷物やコートの預かりサービスが完備されており、来場者用に臨時のバーもオープンするので極めて快適にフェアを楽しむことが出来る。トイレも清潔で、徒歩30秒圏内にマクドナルドやATMもある。

 

 私は2018年にフランクフルト中央駅のすぐ近くに東横インがオープンして以来、フェアに参加するときはこちらを利用している。ホテル内は日本の東横インとほぼ同じで、朝食に白米やみそ汁が出て、なおかつ宿泊料は普通のビジネスホテルと同等というこれ以上にない待遇だ。オープンしたその年に宿泊した際には、朝食会場で日本から参戦した知人のコレクターにお会いした。やはり日本人にはなじみのあるホテルということでこれ以上快適なものはないだろう。

 

 フランクフルトの町自体は金融で栄えている都市であるので観光地は少なく、ドイツ最大規模の自然史博物館であるゼンケンベルグ自然史博物館や、木組みの家が立ち並ぶレーマー広場くらいしかないように思える。しかしレンタカーを借りて足を伸ばしてみると、歴史的なハイデルベルク城やロマンチック街道など、ドイツらしい雰囲気を楽しむことが可能だ。

​荷物の預かり所も完備され、何一つ不自由なく過ごせる素晴らしいフェア会場だ。

​フランクフルトの街自体はビジネスタウンにつきあまり観光スポットはないが、ドイツ最大規模の自然史博物館であるゼンケンベルグ自然史博物館がある。昆虫をはじめ恐竜や魚類など、実物の標本展示が多いのが特徴だ。

郊外まで足を伸ばせば、ハイデルブルグなど歴史のある街並みを散策することができる。

bottom of page